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「で、突然頭に走った激痛によって目を覚ましたら、この森にいた。何故、どうしてこうなったのか、我には解らない。」
とりあえずこれで全部話したな。さて、レリオラがどう反応するか………
「なあ、ナダギ。とりあえずだが、俺が考えた中で1番可能性が高い推測を話してもいいか?」
1番可能性が高い、というのは、こう考えれば1番辻褄が合う推測ということだろう。恐らく、我の考えた事と被っているだろうが。
「今までの我の人生は全て夢の中の話で、我はついさっき長い眠り、もしくは昼寝程度の短い眠りから目覚めただけ、か?」
「………心の中のことそのまま読まれた気分だ。うん、その通り、俺が考えていたのはそれだよ。そうすれば辻褄が合うし、なにより、お前が目覚めたのは安らぎの森だからな。」
「我が目覚めたのがこの森だと辻褄が合うのか?」
「ああ、この森は危険な魔物も居なければ獣もいない。ま、広くて木々の背が高いから迷いやすくはあるが、迷った場合は転移なりなんなりすればいいだけ。
ようするに、日当たりも心地よく、木々の香りもする。危険もなし。昼寝なんかするには絶好の場所だ。」
なるほどな、理解した。
確かに、我も推測したとおり、レリオラが言うように、この可能性が1番高い。
……正直、今まで生きてきた人生がただの夢だったとは思いたくないがな。
それに、これを否定する材料だってあるのだから。
例えば、我が今着ている服。学ラン。身長が低くなったため、着づらくはあるが、確実に我の物だ。
次に、ポケットに入れていた生徒手帳と定期券。
定期券には最寄り駅から学校近くの駅名。生徒手帳には元の世界の学校名とその頃撮った証明写真(もちろんここに写っている我は男だ。)。
考えれば考えるほど、解らないな。
もういっそのこと諦めて、女として第二の人生を歩むという手もあるが、それは最終手段にしておきたい。
「なるほどな、ありがとうレリオラ。もうこの話は辞めにしよう。過ぎたことを話していてもしょうがない。」
「へ?あ、ああ、分かった。」
唐突に終わらせたのに戸惑ったのか、慌てぎみに頷くレリオラ。まだ本題を話していないからな、話さねば。
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