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よし、思い立ったが吉日。善は急げ。あとはタイミングだが。
「くそっ、全員姫様を囲み結界を張れ!ブレスが来るぞ!」
突然響く、人間の声。発したのは騎士達のリーダー格だろう。
騎士達が姫を囲み、なにか半透明な膜を張る。
それに呼応するように、ドラゴンが首を上げ、大きく口を開いた。
「今だッッ!!!!」
地面を思い切り蹴り、そのままトップスピードでドラゴンへ向かう。
首を上げている、ということは浮いていない限り、足は地面に着いている。ならば、ドラゴンの背中を伝い首まで行けばいいだけだ。
ドラゴンの尻尾を踏み、背中を踏み、上がった首へと左手を伸ばす。
刺さった!よし!!
走った勢いで吹き飛びそうになるが、無理矢理身体を捻る。
右手をドラゴンの首に回し、
「お……おぉぉおおあああああああああああ!!!!!」
回転。回転回転回転。一周したら再び首に指を突き刺し、回転。
凄まじい勢いで回転し、その度に肉が抉れているのがわかる。
止めるな!そのままッッ!!!!
「あぁああぁあ!!!」
かなり抉ることが出来た。よし、後は……!
勢いを殺さぬまま首に跨り、引き戸を開ける時のように両手の指をドラゴンの首に突き刺し、思い切り両側に引き離す。
「おおぉラあッッッ!!!!」
結果、ドラゴンの首は我が跨っている部分から先が飛んで行った。
「ぜぇっ…はっ…終わった……のか。」
ドラゴンの身体は地に崩れ落ちた。む、少し衝撃がきた。
…………なくなっていて良かったかもしれん。
ふぅ。さて、騎士達はどうなった?
「………………………」
絶句した表情というのは、この表情のことを言うのだろう。
まだ何が起こったのか理解出来ていないようだ。
「そこの名も知らぬ騎士。無事か?」
「!?………あ、ああ。助太刀感謝する。」
「見たところ重傷者はいないようだな、良かった。」
安堵の息を吐く。少し、いや、かなり疲れた。
とりあえずは人の居る所を目指そう。この道を進んでいけば森は脱出できるだろう。多分。
「き、危険度SSSのエターナルドラゴンをこうも簡単に……貴女はなにm」
「その前に我の質問に答えろ。この道を真っ直ぐ進めば森を脱出できるか?」
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