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「そうよ。リシア。屋敷から出ましょう。今しかないのよ?」
「でも、どこに行けばいいんですか?」
リシアには行く場所はない。スラム街では直ぐに見つかってしまう。
「街をでよう? 四人で暮らそう?」
ハーティが言った。
「四人で! 私もですか!」
ネアが、声を上げた。嬉しいのだろう声が弾んでいた。
「嫌ならいいけど」
ハーティが笑う。リシアはハーティとテトラとネアに視線を滑らせる。三人は本気のようだった。
「セルシオ……様は?」
リシアはこの期に及んで口を開いた。無意識だろうか。それともセルシオを受け入れたというのか。リシア自信が呆然としていた。目眩く記憶を掘り返しても苦痛しかないこの屋敷でやっと差し伸べられた手を切るというのだろうか。リシアは自身でもわかる程に震えている。心も頭も身体も恐怖に溺れて行った。希望を前に尻込みするのか、迷う内に沈黙の時間は過ぎる。
「置いていくよ。リシアとテトラとネアが屋敷を出たら鍵を開いて僕も合流する。朝までに荷物を纏めるんだ」
ハーティは迅速に行動を指示した。
「行く宛はあるの?」
「夜逃げの宛はあるよ。心配しないで」
「どこへ行くの?」
「隣大陸。船のチケットを買ったんだ」
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