続き。

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74.飯場(外、夕闇) ライトで中が明るい小屋の中で作業している古澤が見える。 ヘッドライトをつけて進むカニと作業員達。 明かりがついているのを幸いと、小屋の前に皆が集まる。 【職長】いやぁ、今日はすっかり暗くなっちまったな。お疲れさん 【二郎】夏より一時間以上早いんですけどねぇ 【職長】古澤さんもお疲れさん。どうだい? 【古澤】ああ、クローラーも変えたし、まぁもう一寸だな。1人借りていいか? 【職長】ああ、いいぜ。 【古澤】じゃあ、正明、お前手伝え ビクッとする正明。古澤の顔は厳しい。 【職長】おーし、残りは解散。 【ガヤ】お疲れ様でしたー 小屋の前で硬直している正明。 【古澤】おい、何突っ立ってるんだ、手伝え 背を向けたまま、半装軌バイクのエンジンルームに顔を突っ込んで 正明を呼ぶ古沢。 装備を外して小屋の片隅に置く正明。バイクに近づく。 【正明】何を手伝いましょうか 【古澤】もう終わってるよ。・・・お前、メックに乗ってんだろ。 エンジンルームから顔を上げる古澤。エンジンはピカピカに光っている。 【正明】・・・すいません 【古澤】謝ることはねぇよ。俺の話を聞いても乗っちまったんなら、もうグダグダ言っても仕方ねぇ。あとは飽きるまでやりゃいい。 【正明】やっぱりコンクリの傷を見て、ですか? 【古澤】ああ、それもあるな。・・・お前、何度か沢に落ちてるだろ? 【正明】そこまで見抜かれてますか 【古澤】まったく、ド下手にも程がある 【正明】やっぱ下手ですか・・・ 【古澤】ああ。テクニックじゃねぇって事がわかってないのがド下手の極みだな。 【正明】は? 【古澤】・・・やっぱり判ってねぇな。 ふっと小屋の外を見る古澤。 【古澤】あのな。医者や看護婦ってのは手の洗い方からして違う。 物を作る人間はスケールのゼロを当てて測るなんて事はしねぇ。     メックにそれなりに乗れるって事はバイクの乗り方は 知ってるみてぇだが、要は基本が判ってねぇんだ。 かぶりつくように身を乗り出す正明。 【古澤】お前が乗ってるメックはジムカーナかレース用だろ? 75.正明のガレージ 古澤のワゴンと正明の軽トラックがガレージ前に着く。 シャッターを開け、室内灯をつける正明。 ボロボロになったノーティフロッグが現れる。 壁には工具が掛かり、梁からはチェーンブロックが下がっている。
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