第1話

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若い男は眼鏡の淵をつまんで顔から外すとレンズに息かけて丁寧に磨き出した。 「.....」 男はレンズの曇りを確かめようと言うのか眼鏡を天井へと向ける。 「.....」 目は一重の切れ長で時折視線を向けてくるその目にゾッとする。 「あの~もう1日待ってくれませんか?」 小鳥遊雛子は恐る恐る訊ねるが若い男はレンズ磨きに夢中な様子。 「あのう...「ダメです」 男は眼鏡をかけると雛子の言葉を冷血な声で遮って一枚の紙を雛子の目の前につき出した。 『契約解除』 「わかりますか裁判所の決定です」 「私共は何度も貴女に連絡しましたが御自宅の電話にも携帯にも出られなかった」 「いやあの~部屋の電話は停まって「知ってます」 男は又言葉を遮って通知書を封筒へ入れながら話を始めた。 「貴女に払うと言う意志が聞けたなら何とか出来たでしょうが一度も話に応じなかった」
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