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次の日、吾輩は高層ビルの最上階のオフィスで、デジタル時計に身を収めていた。
複数の人間が忙しく動き回っている。
オフィス内の至る所で電話がひっきりなしに鳴り続け、奥の方では受話器越しに謝罪の言葉を繰り返す冴えない男が、細身の身体を何度も90度に折り曲げているのが見えた。
吾輩の近くでは、白髪だらけの人間が頭をぐしゃぐしゃと掻き回し、苛立たしげに足を揺すっている。
「あ~、時間が無い…時間が無い! これじゃ納期に間に合わん…。神よ、時間をください…いやいっそ、時よ止まれ! 頼む…!」
吾輩は思わず、溜め息をついた。
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