第1章

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人間という生き物は、何故これ程に愚かな物体なのであろう… 時々、時間に追われているなどと言う人間もいるが、勘違い、自意識過剰も甚だしい。 吾輩は、決して人間を追ったりなどしない。 ぶれる事無く、一定の速度で進み続けているだけである。 「もう~時間も無いし、お金も無いし、最悪ぅ~」 はぁ…こっちもか。 この人間もかなり重症。 この人間は、近い内吾輩と同じ宿命を背負う事になるかもしれぬな… もしくは、金という形に姿を変え、不本意にも世界中を旅するかもしれぬ。 だが吾輩が思うに、金の使命を果たすのはこの人間には難しいであろう… この間吾輩の傍に置かれた五百円玉が、トイレに入った後の洗わぬ手でしっかと握られたと嘆いていた(その時はさすがに吾輩も同情したが)。
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