第1章

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吾輩の寿命は、一日二十四時間である。 吾輩は時に腕に巻かれ、壁にかけられ、時には、我が身をわざわざ震わせてまで人間という生き物を起こしてやったのに、 「もう~、うるさい!」 などという罵声と共にバシバシ叩かれる。 まったくもって、理不尽甚だしい。 吾輩は毎朝人間の「後五分…」という訳の分からぬ言葉を聞かされている。 吾輩が思うに、人間の言う「後五分…」をその無駄にふわふわした布の中で過ごした所で、五分前となんら変わらぬ現実が又やってくるだけなのだが。
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