第1章

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一度、毛むくじゃらの腕に一日中巻かれた事がある。 あれは、吾輩史上最低最悪の一日であった。 背中が常にむずがゆく落ち着かない上、人間が吾輩を見る度顔を近付ける。 その度、口から強烈な毒ガスでも噴出させているのではないかと思わずにはいられぬ程で、一日が終わる頃、吾輩の意識はもう既に半ば飛んでいた。 そんな地獄を経て今ここにいる吾輩には、今日の任務が天国に思えて他ならない───天国も地獄も実際に行った事など無いが。 うむ…そこは上手く察して欲しい。
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