第1章

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さて、吾輩はしばしの間眠るとしよう。 先程から隣のゲージの中の鳥がビービー五月蝿く鳴いているが… 吾輩は横目でちらりと見やった。 鳴き方からして恐らく、充分な餌を与えられていないのであろう。 だが、吾輩にしてやれる事など皆無である。 吾輩はここから動くことはおろか、餌の袋を開け、ゲージの扉を開け、餌箱に木の実を入れてやる…など、できぬのだから。 吾輩はただ、時の流れを数値化して人間に見せるのみ。 それが吾輩の定められた使命であり、宿命なのである。
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