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「ぜってぇ美耶だった。俺、あんなキス、初めてだったんだよ」
綺羅くんは溜め息混じりにそう言うけれど、あんなキスとか言われても困る。
って、どんなキスだったの!?
なんて考えていたら、綺羅くんがぼそぼそと呟くように口を開いた。
「試していい?」
「何を?」
「キス」
「だ、だ、だめだよっ!」
右手で口を押さえながら、後退りする。
何、この子。
カッコイイけれどちょっとおかしくない?
「もうここでいいから眼鏡を返して?」
「だから付き合ってくれたら返すって」
無理だよ。
初対面の人と付き合うなんて。
「じゃあいらない。それあげる」
そう言って背中を向けて歩き始めた。
眼鏡がなきゃ困るけれどこれ以上関わりたくない。
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