第1章

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お疲れ様って聞こえた気がした。 お疲れ様……か。皮肉じみたその言葉、有り難く受け取っておくよ。 三十を過ぎると、解る事と解らない事の境界線が、綺麗に出来てくる。例えば、クイズ番組をみて、全十問中何問解るかが解ってくる。逆に言えば、何問目から解らないかが解る。 俺の場合、七問目までは解る。八問目からは、正解を聞いて「はいはい。凄い凄い」と、いきった顔の回答者に吐き捨てる。 七問目以前は、誤答した回答者に「頭わりぃな」と、いきった顔して吐き捨てる。 三十という年齢は、子供の頃に思っていたより、ずっとガキ臭い。三十になれば、誰でも渋い良い男になれると思っていた俺は、多分、他の三十男に比べたら、かなりガキ臭いだろう。
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