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全生活史健忘
私は、
事故以前の記憶を無くした。
自分の名前は勿論、
家族、
学校の友達と過ごした思い出が残ってなかった。
幸い、
知識的な記憶には障害はなかったが、
それでも私が無くした記憶は大きかった。
当時は、
本当に何が何だか解らず悲しくて毎日病室のベッドで泣いていた。
そんな私の手を優しく握りしめていた母の手の温もりが、
この人が母親という事を教えてくれたんだと思う。
母は、
病院わ退院する時
「貴方が無くした記憶は一生戻らないかも知れない。
だけど、
貴方は、
こうして今生きている。
今日からは、
無くした記憶を取り戻す為に生きるのではなく、
これから新しい自分を、
新しい思い出を作る為に生きて欲しい。
」
と私に優しい声で話してくれた。
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