王子でモデルで修羅場1

6/8
前へ
/50ページ
次へ
全生活史健忘 私は、 事故以前の記憶を無くした。 自分の名前は勿論、 家族、 学校の友達と過ごした思い出が残ってなかった。 幸い、 知識的な記憶には障害はなかったが、 それでも私が無くした記憶は大きかった。 当時は、 本当に何が何だか解らず悲しくて毎日病室のベッドで泣いていた。 そんな私の手を優しく握りしめていた母の手の温もりが、 この人が母親という事を教えてくれたんだと思う。 母は、 病院わ退院する時 「貴方が無くした記憶は一生戻らないかも知れない。 だけど、 貴方は、 こうして今生きている。 今日からは、 無くした記憶を取り戻す為に生きるのではなく、 これから新しい自分を、 新しい思い出を作る為に生きて欲しい。 」 と私に優しい声で話してくれた。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加