ブラックより微糖がいいんだ

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こころを詰め込んだ文字を、 一文字ずつ削った。 さよなら僕、君はもう戻ってこない。 今が大事、なんて言われた。 だとすれば、 過去の僕らはどこに行ったのかな? 僕らのお陰で僕はいて、 そしていつか、僕のお陰で 未来の僕らが生まれるんだろう。 命には貴賤はないんです。 でも僕は一番が無いせいで苦しいんだ。 そんなこと、考えたことがないでしょ? そんな勘違いを起こす 寝起きの脳みそを、 苦い黒の液体で叩き起こす。 朝だ。 まだ朝なんだ。 真っ白のカンヴァス、 でも一番好きな色が解らないから、 何色で塗ればいいか解らない。 自由という拘束は、 僕に無闇な混乱を与えて、 そのくせ次の瞬間には しがらみを連れてくる。 少し自由すぎませんか、社会。 しょうがない、 と僕は言ってコーヒーに砂糖を入れた。
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