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道端で独りぼっちで歌った
濁った声、道端、用水路、
けろけろけろけろ
寂しいなんて、言わないよ?
ほっぷすてっぷで跳ぼうかな
空はだって、飛べないから
せめて地を這うように
少しは跳んでみようかな
雨が、降りそう
そう呟いた僕の声をみんなが聞き咎める
いつもはちゃんと聞いてくれない癖に
挙げ句の果てに雨はちゃんと降って
ねぇ待って、雨が降ったのってさ
僕のせいじゃないんだけど
ひなたぼっこして眠るとか
風に吹かれながら歩くとか
そういうの、憧れていたような
そんな気が、少しだけする
足がなかった頃のことを忘れたから
水中で泳いでいた頃のことを忘れたから
オタマジャクシのあの日の夢は
あの小池に沈めてきたから
不格好な歩き方とか
精一杯の呼吸とか
不器用な歌声とか
綺麗なものじゃないけどさ
それで満足
だって僕、オトナになったから
これで満足しないといけないんでしょ
忘れたはずの、泳ぎ方
心の奥で少しだけ疼いたのは
気のせいなんです
だって僕はかえるだから
地を這うように地面を跳んで
今日も小唄を歌うのです
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