Essent"I"al

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 そして今日、一日だけの契約をした。  かりそめの恋人、愛ちゃんを僕の「恋人」として両親に紹介する。なけなしの給料は、愛ちゃんと高級レストランで霧散した。  やがて店員が料理を持ってくる。 「じゃあ愛ちゃん、お料理いただこうか」  とは言え、僕はナイフとフォークの使い方がわからない。そこで、愛ちゃんがいかにして食べるのかを見ようと顔を上げると、 「ちょ、愛ちゃんなにしてんの!?」 「え?」  愛ちゃんは、電子レンジのようにお腹を開き、そこへ料理を流し込んでいた。見た目よく作られた料理が生ゴミのように腹の空洞に収められる。  このとき、愛ちゃんがロボットであることを思い出したのだった。  恋人ロボット――それが愛ちゃんなのだ。
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