4人が本棚に入れています
本棚に追加
私が未来予知をできると知ったのはたしか六歳の頃だった。
夢見がちな少女時代だったから、その延長線とも考えた。
ただ、私が語ったことが必ず起こってしまうのだった。
――もしかすると、私には不思議な力があるのかも。
愚かしいことに、この頃の私は気づいてなかった。
それが未来予知などというものではないことを。
私の言葉が未来になる。それは予知ではない。
未来予知ならぬ未来創造。私は神になった。
そのことを知らない私は「予知」をする。
私を愚かと呼ぶのであれば呼べばいい。
私はそれだけのことをしてしまった。
八歳の時、母と些細な口論をした。
「お母さんなんか死んじゃえ!」
だれでも言うような言葉だ。
でも私が言ってしまった。
「私」だからダメなのに。
翌日に、母は死んだ。
無残な死体だった。
そこで私は知る。
これは呪いだ。
私の言葉が。
母を殺す。
殺した。
母を。
最初のコメントを投稿しよう!