はじまり

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四角く囲まれたグラスの写真をひとつひとつ呼び出してみる。 「このくらいが妥当か……?」 妥協ともいう。 「まさか、あいつバカラのペアなんて期待してねぇよな……。」 たかがグラス、されどグラスだ。 100均のグラスだって使う分には問題ないはずだ。 だからって100均でいいワケでもなく。 「あいつも案外、高くつく女だよな。モデルって言ったって、二流、三流程度なんだけどな。新しい仕事だって大したことはないんだろ、きっと。」 商品のページを次々、見てみる。 どれも大した違いはないような気がするのは、俺だけじゃないはず。 グラスなんて選べねえよ、もう。 はあ。 明日は朝から会議だったな。 面倒くせえから、もう寝るか。 いい加減グラスばかり眺めるのも飽きてきた。 取りあえず、気になったヤツはお気に入りにいれて……と。 まあ、あとはあいつ本人に選ばせればいいだろう。 そう思い、画面を閉じようかという時、 そのグラスが目に入った。 【商品名】 かなえグラス
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