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「今回、デパート内で不審物が発見されたため、お休みさせていただきます、か」
おそらく血であろうそれを不審物にしていいのかは、よくわからなかったが、やっぱり休みにするみたいだな。
「デパートが休みなのは分かったな?」
「あぁ、だからなんだ?」
「乗り込むんだよ!この中に!」
「はぁ!?」
陸が言うには、今、店内は血痕があったということで大騒ぎらく、裏の戸が開けっ放しらしい。
不用心にも程があると思ったが、仕方ないのかとも思う。
まぁつまり、開いてるこの隙に入って調べよう。
ということらしい。
「無理だな。入ったら、すぐバレる」
「大丈夫だって。見つかった時は、興味があって入ってしまいましたって言えばいいんだよ!」
そんなうまくいくとは思えないけど……、と言った時、後ろから声がした。
「やぁ、おじさん」
その声、というか言い方にすごく思い当たる人物がいるが、そいつではないよう祈りながら振り向く。
「あぁ…………」
「なんでそんな顔してるの?そんなに嫌?」
「おじさんじゃないって言ったよな」
「そんなことまだ言ってるの?」
そんなこととはなんだ!と言おうとしたら、陸に止められ、この子は誰だ?と言われたので、名前だけ教えた。
流石に、会ったのが生死をかけた鬼ごっこだとは言えない。
「へぇ~、なんか大人っぽい子ね」
「上から目線はやめてくれるかな、おばさん」
その時、真弓の顔が引きつったのが分かった。
急いでなだめて、落ち着かせる。
「そうね、子供に怒っても仕方ないしね」
「おばさん、子供子供って言わないでよ」
今度は真弓の手が出かける。
また止めると、その拳はこっちに来た。
それは、俺の顔に直撃した。
「うっふ…………!」
「あ……」
その後、真弓に謝られながら、再び宮野秋雪に話しかける。
「なんでここにいるんだ?」
「買い物を頼まれたんだけど……閉まってるみたいだね」
「あぁ」
そして、小声で言う。
「昨日のことだろうな……」.
「だろうね……」
そのあと、閉まっていたことを伝えるため、家に帰っていった。
そして俺たちは、結局乗り込むことになった。
「本当に行くのか?」
「当たり前だ!何があるのか確かめないと!」
「だから、血痕なんだろ?」
「なんで血痕があるかだよ!」
そうして俺たちは、店に入っていった。
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