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「ここだな……」
小学校についた俺は、周りに誰かいないかを確認して、中に入った。
ここは妹の通っている学校で、今は当然夏休み中のため誰もいない。
「先生もいないのか」
普通なら先生が何人かいるはずだが、何かあるのか人の気配が無い。
とりあえず、校舎内に入る。
荒川小学校は小学校の割りに大きく、物によっては、高校よりも大きい。
その時、後ろから声をかけられた。
と、いっても階段を上っていたので、後ろと言うよりは下だが。
「これはこれは、黒谷様。下見ですか?」
「ジョーク……」
そこにいたのは、鬼ごっこ司会進行のジョークだった。
「お前も何かあんのか?」
「いやまぁ、私は確認です。鬼ごっこをする際、邪魔になる物が無いかの、ですね」
「下見に関してはいいのか?」
「別に構いません。じっくり見ていただいて、どうやって逃げるかを考えてくださっても構いませんし」
そう言うと、ジョークは声を掛けるだけだったのか、下の廊下の方に行ってしまった。
ふと、考えついたことがあり、ジョークに尋ねる。
「なぁ、俺を監視しなくていいのか?」
「なぜですか?」
ジョークは振り返らずに聞き返す。
「俺が何か仕掛けるとは思わないのか?」
「…………別に。仕掛けたところで、ですね。それにしてもその落ち着きよう、素晴らしい。”今までの参加者”の中でもかなりの方かと。他の参加者の方もですが」
そう言った時、明らかに引っかかる言葉があった。
「おい……”今までの参加者”ってなんだよ?」
「おや、言ってませんでしたか?この鬼ごっこ自体開催するのは、二回目です。前回に関しては一日目で三人死にまして。そこからは全員荒れに荒れまくって、ひどい物でした。あ、でも最終的に一人残りましたね。五日目の開催の時に、すでに一人だったのですが、見事逃げ切りまして。あの人の落ち着きと言ったら。凄い物でしたよ」
それを聞いた時、小さい頃、小学生くらいの時に聞いた噂を思い出した。
友達が興奮気味に話していて、内容は”死体がなく、現場には血だけが残されていて、犯人が誰か分からない、こういう事件が近くのショッピングモールであった”。
といったものだった。
その時はなにも感じなかったが(もちろん怖いとは思ったが、なにぶん幼かったため、理解がちゃんと出来てなかった)、今の話を聞いてもしかしてと思う。
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