第二戦

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「どうかしましたか?」 「いや、別に……」 結局、流れのようなもので草原と一緒に昼飯を食べ、店を出た。 草原は少し寄りたいところがあるらしく、店の前で別れた。 いろんなことを喋っていたせいか、ファストフード店ということもあり、ゆっくりしたせいか、時間は午後四時を回っていた。 「一旦家に帰るか」 と、独り言をこぼし、帰路につく。 帰ると、リビングの机の上では、相変わらず瑠夏が夏休みの宿題と格闘している。 「あら、かぁくんお帰り」 「ただいま、母さん」 「夜出るって聞いたけど、夜ご飯どうする?」 「あー、今日はいいや。向こうで食べるよ」 「そう。そういえば、どこに行くの?」 それを聞かれた時、僅かに自分の顔が強張ったのが分かった。 正直、その質問が一番怖かった。 俺は適当に友達ん家と答える。 それで良かったようで、それ以上は聞いてこなかった。 俺は部屋に行って、携帯の充電をする。 鬼ごっこ開始まであと約四時間。 絶対に逃げ切るんだ。 その時、急に眠気が襲って来た。 「あ、れ……」 覚ますために、頭を振る。 一旦は覚めるものの、少しすればまた来る。 結局、体も動かないまま寝てしまった。 目が覚めると、俺は急いで時計を見た。 時間は午後七時四十五分。 指示された八時まで時間が無い。 急いで準備をし、携帯を持って家から飛び出した。 小学校に着く頃には、息が切れ、横っ腹も痛かった。 すでに、他のメンバーは集まってるらしく、ジョークが俺を確認すると、こう声をかけた。 「いやはや黒谷様。今日はもう来ないのかと思いました。まぁ、下見をしてた人が来ないわけ無いと思っていたのですが……」 「つい寝ちまってな」 「素晴らしい余裕でございます。が、少し緊張感というものも必要かと」 「分かってるよ」 その時、時計を見ると午後七時五十八分だった。 本当にギリギリらしい。 「それでは、少し早いですが、鬼ごっこを始めましょうか」 ジョークによって再び説明がされる。 「それでは、いつも通り懐中電灯と時計を」 そうして俺たちは校舎内に入り、別れた。 「それでは、鬼ごっこ開始です。皆様、頑張ってくださいませ」 と、校内放送が流れ、前回と同じく何処かの扉が開く音がした。 俺は今回、宝条絢香と宮野秋雪とともに動くことにした。
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