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「まあ、悪いことではないさ。ディーンドライブに乗るのは楽しいぜ。俺が守ってやれるしな」
「そりゃ、強い人は楽しいんでしょうけど」
「その強くなるための訓練をこれからしに行くのさ。よし、着いたぜ。黙って俺についてきな、お姫様」
「う・・・ん・・・」
アスナは不安に思いながらオリトの後についていった。
その先の部屋に戦闘訓練をするシミュレーターがあり、一人の女性が待っていた。
「いらっしゃい、その娘が噂の新人さんね。わたしはトモコ・ニノ。ここの技術班の人間よ」
「よろしく・・・お願いします・・・」
アスナはおどおどしながら彼女と握手した。
「そう固くならなくていいのよ。これから一緒に仕事をしていくんですからね」
「はい・・・」
緊張が抜けないアスナの横から、オリトが話しかけてくる。
「アスナ、初期化のことは相談しなくていいのかい? 彼女が技術班の人間だぜ」
「うわわ、それは」
「初期化?」
首を傾げる彼女にオリトが事情を説明した。アスナは真っ赤になりながらそれを聞いていた。
トモコはきっぱりと答えた。
「無理ね」
「どうしてですか?」
「そもそもルクスには初期化をする対象となるAIが存在していないのよ。なぜ動いているのか、なぜ言葉を発せられるのか分からないってところが正直なところね」
「そうなんですか」
「AIも搭載せずに動くなんて過去に例の無いことよ。あなたどうしてあれを動かせたの?」
「それは・・・呼びかけで・・・」
「呼びかけで・・・ね。まあ、それはこちらで考えておくわ。今日あなたに来てもらったのは訓練を受けてもらうためよ」
「訓練ですか」
「訓練と言っても難しいことをするわけじゃない。簡単なシミュレーションでルクスの操縦を出来るようになってもらうだけよ」
「操縦ですか」
「ええ、余分な戦力を遊ばせておくと上や世間がうるさいのよ。とりあえず形だけ出来るようになれば文句は言われないはずよ。頑張って」
「はい、頑張ります」
アスナはシミュレーションを頑張った。
終わった頃にはへとへとだった。
「うう、疲れた・・・」
「お疲れ様、よく頑張れたわね。初めてであれだけ出来れば上出来よ」
「ありがとうございます。外の風に当たってきます」
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