0人が本棚に入れています
本棚に追加
アスナは外に出て行った。トモコは見送り、オリトに話しかけた。
「プロの操縦士から見て、彼女、どれぐらいで物になりそう?」
「明日には出撃出来るぜ。俺のかっこいい活躍を見せてやるにはむしろ今のぐらいが丁度いいね」
「丁度いい・・・ね。あなたの足を引っ張らない程度にはなれればいいけど」
トモコは今日のアスナの戦闘訓練データを整理する作業を始めた。
アスナは外の風に当たっていた。父親が話しかけてきた。
「アスナ、来ていたのだな」
「父さん、なぜこんなところに」
「これからお前が世話になるのだ。挨拶に伺うのは当然だろう」
「反対しても無駄だからね。わたしがすることはわたしが決めるんだから」
「そうだな。お前は母さんに似ている。言い出したら聞かない性格だ。お前の事はわたしが守ってやりたかったが・・・」
「わたしは父さんに守ってもらいたいなんて思わない」
「当然か。わたしもお前もあの日ディーンドライブに守られた。悔しいがわたし達に出来ることは何も無かった。これも縁かもしれないな。お前が誰かを守りたいとこの道を選ぶのならわたしはもう止めない。その力で他の誰かを守ってあげなさい」
「父さん・・・?」
「わたしは先に戻っている。お前も早く帰ってくるんだぞ」
「うん・・・」
帰っていく父をアスナは見送った。
「わたしは別に誰かを守りたいと思ったわけじゃ・・・」
釈然としない気持ちだった。
その日が終わり、新しい朝がやってくる。
「父さん、もう仕事に行ってるんだ。いつも早いな。まあ、わたしはその方が助かるんだけど」
テレビを付けるとどうでもいいニュースをやっていた。もうこの前のガリオン騒ぎのことはニュースになっていなかった。
「ガリオンが来て軍の人が倒すなんて今時珍しいことじゃないもんね。これが普通か。さて、学校に行くか」
朝食を終え、学校へ行く。いつもの授業を受けて、放課後には訓練に行く。
あの騒ぎは何だったんだと思えるぐらいの平和な日常が過ぎていく。
訓練の結果はあまりよく無かったが、アスナはそれほど気にしていなかった。
戦うのは軍人の役目だ。自分が真面目にやる必要は無いと思っていた。
だが、その考えは甘かった。ガリオン襲来の警報が鳴ってアスナも出撃することになっていた。アスナは驚いてトモコに言った。
最初のコメントを投稿しよう!