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過去にガリオンに襲われた日の事を思い出す。そのガリオンとは違う別のガリオンが今倉庫の屋根を吹き飛ばした。もうなりふり構っていられなかった。
「誰か・・・誰か助けてーーー!」
アスナは心の底からの叫びを上げた。
コンピュータが起動し、ロボットの腕がガリオンを吹っ飛ばした。ロボットは立ち上がった。
「何これ? 何なの?」
アスナが起動したコンピューターとロボット視点で外に広がる景色に目を白黒させているとAIが話しかけてきた。
「あなたを助ける。わたしにはそれが可能?」
「これってもしかしてディーンドライブ?」
アスナはそれを知っていた。街の人間なら誰でも知っていることだ。
過去に何度かガリオンと戦うその姿を見てきた。空の割れた日に自分を助けてくれたのもディーンドライブだった。
アスナは自信とともに断言した。
「ええ、可能よ。早くあいつをやっつけて!」
このロボットなら敵と戦える。それは可能のはずだった。
「了解しました。あなたをアストロノーツとして承認します」
「え? うっ、何だろう。ふわふわした不思議な感じ」
AIはアスナの承認作業を完了した。
「承認を完了しました。わたしはルクスです。よろしく、アスナ」
「よろしく。あなたがこのディーンドライブのAIなのね」
「わたしはAIではありません。ルクスです」
「? まあいいや。さっそくあいつをやっつけてよ」
アスナはガリオンと向かい合った。ガリオンはこちらを警戒しているようだった。アスナは命令した。
「いっけえ!」
「行きます」
だが、アスナの予想に反しロボットは実に緩慢な動作で動き出し、ガリオンとは程遠い場所ですぐに転んで止まった。アスナは倒れた衝撃を感じたが、ほとんどの衝撃はシステムが自動で吸収してくれた。
「ちょっとどうなってるのよ! いつものように戦ってよ!」
「いつものようにとはどのようにでしょう?」
「こうガギーンとビュビュビューんって感じよ!」
「理解不能。操縦してください、アスナ。わたしに出来るのはあなたを助けるだけです」
アスナは今更ながらに操縦するレバーの存在に気が付いた。恐る恐るそれを手にする。自分がやらなければいけない。目の前に敵がいて自分に戦う力があるのだから。
「お・・・お・・・オーケー。操縦でも何でもやってやろうじゃない」
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