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アスナは何か話がおかしい気がしたが、それより早く帰りたかった。
オルトロスはオリトに話しかけた。
「オリト、今度入ることになった新人は男の子だったはずよ。名前はレン・ハヤミ」
「男の子だったか。悪いな、俺は可愛くても男はノーサンキューなんだ」
勝手に話しかけてきて勝手に断られて、アスナはむっとした。
「わたしは女の子です。名前はアスナ・セオ」
「話が違うじゃないか、オルトロス。女の子だって言ってるぞ」
「本部に連絡を取るわ。アスナ・セオ。確認が取れるまであなたはこのままここにいて」
「はい・・・」
軍人の命令に逆らう気はアスナには無かった。それは警察に喧嘩を売るようなものだからだ。とにかく早く帰りたかった。
「じゃあ、アスナちゃん。本部に確認が取れるまでお兄さんと楽しくお喋りしよう」
「・・・・・・」
オリトはしつこく話掛けてきたが、アスナはもう何も話したい気分では無かった。
しばらくして軍の人間が来た。たくさんの車両が来て大勢の人間が降りてくる。
「ものものしいな。わざわざ呼んだのか?」
「向こうが来ると言ったのよ。ディーンドライブは大切な物だから当然でしょうね。あなたもわたしを大切に扱ってよね」
「俺はいつも大切に扱ってるだろ? 女の子を扱うようにさ」
「どうだかね」
軍の人間はノックした。
「アスナ・セオさん。我々は君に危害を加えるものではない。ここを開けてくれるかね」
「開けて。ルクス」
「了解、アスナ」
コクピットが開かれる。久しぶりの外気の風の感触にアスナは顔をしかめた。軍の人間が話しかけてくる。
「我々は軍の人間だ。君のことは調べさせてもらった。お父さんにももう連絡は取ってある。君には聞きたい話があるんだ。本部に一緒に来てくれるね?」
「はい・・・」
アスナに選択権があるはずが無かった。
ただ案内されるままに車に乗せられて本部に向かうことになってしまった。
アスナの乗っていたロボットはクレーンで大型のトラックに乗せられて一緒に本部へ運ばれていった。
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