第1章

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 休み時間になると生徒達が根掘り葉掘り訊ねてきて、アスナはまた昨日と同じ説明に追われ、しまいに我慢出来なくなってトイレの個室に駆け込んだ。 「もう嫌だ。わたしはただ静かに普通の生活をしたいだけなのに・・・」  休み時間が終わるチャイムが鳴る。 「あ、授業に出なくちゃ」  アスナはふらふらとした足取りで教室へ向かった。  次の授業でもアスナはみんなの注目を集めていた。国語の先生が昨日のことを蒸し返す。 「アスナ、お前ディーンドライブに乗ったんだってな。先生も一度乗りたいと思っていたんだ。あれってゲームのように動かせるのか?」 「先生、そんなことよりも授業。授業を進めましょうよ」 「おお、アスナがそんなに勉強熱心になるとは。これもディーンドライブの効果か。よし、じゃあここをアスナに読んでもらうか」 「なんだってこんなことに・・・」  昨日までのアスナは決してみんなに注目されるような目立った生徒では無かった。  何事もなく学校を卒業し、就職して一人で普通の生活をしたいだけだったのに。  アスナはあきらめの境地で教科書を読んでいった。  昼休み。アスナは一人で屋上で弁当を食べていた。 「やっぱり一人は落ち着くわ。他人なんてうっとうしいだけなのよ」  弁当を食べ終わる。誰かが来て騒ぐかと思ったけれど、無事一人で食べ終わることが出来て安心した。  立ち上がって遠くの景色を見る。遠くの空にうっすらと割れた空が見えた。 「割れた空か。あれを治すことが出来ればガリオンが来ることは無くなるのかしら」  ガリオンは割れたあの場所から侵入してくる。他の道もあるかもしれないが、アスナの知る限りではそうだった。 「でも、無理よね。どんなに高い梯子車でもあそこまでは届かないもの。空でも飛べればな・・・」  アスナは身震いした。 「嫌なことを思い出したわ。教室に戻ろう。ここは空に近すぎる」  アスナは教室に戻っていった。
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