第1章

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 五時間目の授業が始まる。  いつまで昨日のことで騒がれるのだろうと心配だったが、不思議とそれからはその話は出なかった。  いつもの日常が始まる。その理由を近くの友達が教えてくれた。 「ごめん、アスナ。わたし達騒ぎすぎたよね。アスナにとっては大変な時期なのに。アスナは静かに普通の生活をしたいんだよね」 「なぜそのことを?」 「イケダさんが教えてくれたのよ。隣のトイレでアスナがそう呟いていたって」 「お・・・イケダ・・・」  アスナは頭を抱えたい気分だった。どこに耳があるのか分かったものではなかった。これからは不用意な発言は控えようと思った。 「わたし達これからはいつものようにしてるから、アスナも学校にいる時ぐらいは仕事のことは忘れてエンジョイしてね」 「うん、ありがとう」  悪い話ではなかった。アスナはそれからはいつもの日常を送り、放課後になった。   「今日は早く帰ろう。面倒に巻き込まれないうちに」  そう思って足早に歩いていると、校門のところでオリトが待っていた。 「よう、可愛い新人パイロットちゃん。迎えに来たぜ」 「オリトさん、なぜこんなところに?」 「先生から聞いていなかったかい? 君は今日からサイクスの仕事に参加するって」 「それは聞いて・・・ましたけど。でも、どうしてわたしなんですか?」 「聞いていなかったね」 「はわわっ」  アスナが図星を突かれて慌てていると、オリトは軽く笑った。 「まあ、先生の話なんてつまらない物だからね。これから俺が面白い話として聞かせてあげよう。さあ、車に乗りなさい」 「はい・・・」  アスナは渋々と車に乗り込んだ。  車を走らせながらオリトは事情を説明してくれた。アスナにしかルクスに乗れないこと、軍は余計な戦力を遊ばせる気が無いこと等を。 「わたしにしかルクスに乗れないってどういうことなんですか?」 「アスナちゃんが昨日やった認証が解除出来ないらしいんだ」 「初期化とかしたらいいんじゃないですか? よく知らないけど」 「俺にもその辺はよく分からないんでね。君がそう思うなら、君が技術班に交渉してみればいいんじゃないかな」 「うう・・・」  自分が思いつくようなことをプロの技術者が思いつかないはずがない。アスナは交渉が無駄なことを悟った。
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