富豪と貧民

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目の前に差し出された白と黒の札 手に受け取るとじっくりと眺めた 人を集め勝負となれば ついつい覗き込んでしまう 人の流れに身をまかせ 辿りついたのはこの遊戯場 「ルールは彼処よ あんた初めてでしょ」 きょとんとして視線をあげる 目の前にはずいぶんと 場馴れした感じの… 「こういう場所で ぼっーとしていると 狙われちゃうわよ」 見知らぬ女にそう言われると カチンと血がのぼる 指差された掲示板に 目を向けて入口で渡された 札を並べルールを横目で追いかける 黒>赤>白>黒の三竦み 一次予選のゲームは 互いの札を一枚ずつ 引き合って勝ち負けを決める 勝ったほうが 札を引き上げる 引き分けた札が次ゲームに 追加される赤札に交換される 「白札さえあれば勝てるんじゃないか」 思わず声をあらげた 女は呆れ顔で冷静に語る 「馬鹿ね、みんなわかっているわよ だから必死にゲートの出入りを 繰り返しているのよ この札は入場のオマケなんだもん」 はっとした僕は人が混みあう 札配布所に目を向けた 押し寄せる人波に驚いた 「これが勝負だって」 「仕方ないわよ 資金集めには充分過ぎる仕組みだわ」 「ずいぶんと冷静なんだね 君は以前もこの大会に来たのかな」 男が僕達の話に割り込んできた 「ここは初めてなのよ 彼も多分、初めてだわ」 女はさっきまでの様子とうって 変わり少し態度を改めた 警戒してるのか… ぬるま湯みたいな景色の前に 忘れかけていたが 僕達は勝負の場にいる だが状況を把握していない 僕はどうすればいい…
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