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「黒札が価値をつけるのは
赤札が追加されてから
白札を望んだことを
忘れさせてくれるわよ」
はっとした僕は慌てて
人だかりが消えない
入場ゲートに目を向けた
黒>赤>白>黒の三竦み
赤札が増え続けば
黒札に価値はでる
しかし、赤札はどうだろう
何枚の札が流れているか
なんて予測なんて不可能だ
皆同じことを
考えたなら赤札以上に白札が必要だ
黒札への優位にたつならば…
ぐるぐると札色ばかりが
頭ん中を駆け巡る
「均等に札を並べても
勝てる気がしない。」
僕はゲートを眺めることをやめた
「くそっ、札を引きあった瞬間に
自らの均等を崩しだしている」
こぶしを握りしめる男の横で
女はボソッと呟いた
「白札が作り出す愉悦を覚えたものは
自らの首を締めあげていく
すべてを失ったときに気がつくのかしら」
ジャックポットの数字の
羽上がりにぞっとした
「この札はオマケなんですよね…」
一体何人がここに
いるかわからないけれど、
遥かに超えた数字…
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