富豪と貧民

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「充分遊んだかしら私達」 男は首を横に振りあげると 女がニコリと笑った 「もし、次遊戯も同じ条件ならば 互いに一枚ずつ札を提示 黒>赤>白>黒の優位な方に 提示札を受け取る権利が発生する 相手が何枚の札があろうと 関係ない…自札を出しつくすまでは 終われない…」 「それはやだ、終わる気がしない あと何回このレーンに乗ればいいのかしら」 膨れっ面の女 ジャックポットがなければ 永遠に続くジャンケンに飽きが くるのは仕方がない …いや、充分に飽きていた 帰る人の姿が目に浮かぶ 「なんだ、この振るいのような くだらなさは…」 溢れる札を持て余す男は 苛立ちを隠せない 馬鹿げた勝負だと憤る 男は以前と同じチャンスを 思い描いてきたのだろう 会話の端々にそう感じた だが、突如沸いた赤札と 忌まわしき黒札は どんな風に化けるのか… まだ見えてこない
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