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「真瀬!」 男の人の低くて太い声がした。 「真瀬 侑成(マセ ユウセイ)!早く来い!」 廊下から聞こえていたはずの声は、いつの間にか教室内で響いていて あたしたちは同時にそちらを見た。 そこには、クマのような男の人が立っている。 胸元にポニーのマークが着いたポロシャツを着ているけれど、胸板が厚過ぎて、ポニーが牛みたいだ。 この人、どこかで見た事あるな。 社会科の先生だっけ……。 「え~。なに? やっぱ俺?」 「お前しかいないだろ!」 「ナセさんじゃねぇの? な?」 な?って、言われても。 いえいえ。首を傾げられても。 「な?じゃない。俺が呼んだのは、真瀬 侑成、お前だ」 「マジかよ」 「いいから行くぞ」 「えー」
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