第5章 名前のない女の復讐

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新宿三四郎のところに。資産家から、悔やみのメールが来た。 「今回は、非常に残念だ」 そして、反乱する田中ホームのおっさんとじじいを北海道に送る途中であったことをつらつらと書き連ねていた。 結論は不遇の事故。 だが、やはり気に食わない。 人生から逃げた中年以降の家出と、未成年が親から逃げる家出は 本質的に違うのだ。 田中ホームの蒸発者のIDを調べてみた。 彼らの本名をたどる・・・・・50名中全員が7~8年で失踪により、 家族に保険金をもたらしていた。 問題は、そのあとだ。 家族以外に、全員会社に保険をかけられていた。 会社は、バラバラでスーパーマーケットであったり、土木会社であったり 鉄工所であったり・・・・ 新宿三四郎が調べていくと、すべて資産家の関連会社であった。 家族に気付かれずに、死亡認定を入手することは、資産家の人脈では 難しいことではない。弁護士から詐欺師まで、自由に使えるのだから・・ 50名で平均3200万、総額16億が出ていた。 さらに調べると、失踪者を収監し、すぐに二重に保険をかけるやり方で、 年間200名ほどの失踪認定成功させ、年間60億を入手している。 資産家は、生活保護で食わしておいて、保険金で莫大な利益を出す 家出産業を構築していたのだ。 このCOOLなやり方は、リスペクトするが、何かが違う。 金を生み出し、家出人を養い、地方の町を支配して、組織の安定をはかる。 そう、彼のは「人集め」であって、 新宿のは「人助け」なのだ。 実際、家出クラブの会員は少しずつ減っていた。 それは、ホームレスの死亡率の高さにもあった。 同時にAV嬢のように自殺するものも多い。 新宿三四郎にとって、想定はしていた出来事。 やはり家出人は、社会に不適合なのかもしれないからだ。 「全部捨てて、他の土地に逃げる」 そんな考え方をする人間は、簡単に命を捨てる可能性は高い。 だからこそ、学校を買収して、教育を与え、同時に勤労を覚えさせる。 若い家出人の構成こそ、彼の理想なのだ。 それが人助け。 ホームレスを管理することとは趣が異なる。 家出クラブは、このままでいいのだろうか・・・・
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