第5章 名前のない女の復讐

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新宿三四郎が、家出クラブの在り方を悩んでいるとき・・・・ 資産家は、新宿の中華料理屋で夕食をとっていた。 その店「東北南飯店」の女社長・簫麗華は、例の資産家に 酒を注いでいた。 社長と言え、まだ35歳の麗華は、スリットの入ったチャイナドレスを着こなし 細身ながら、ボリュームのある体で、色香を振りまいていた。 資産家は、その女の部分に魅了され、何度か通い詰めていた。 今では引退したとはいえ、何千億のコンチェルンの会長である。 英雄は色を好むものだ! 男は美しさと賢明さを兼ね備えた女に惹かれ、女は男の一流に惚れていた。 そうすると、自然と生い立ちを話すようになる。 「社長ね・・・私、25の時結婚したのよ・・台湾で。  相手は財閥の一人息子でね・・・莫大な財産持ってたのよ。  5000億よ・・・・でも、子供ができなかったから、追い出されたの」 「それは・・・でも、訴えれば結構取れるよ」 「手切れ金・・・そうね・・・少なかったわよ。100億だもの」 「それはすごいじゃない」 「何言ってるのよ、子供がいたら全部でしょ・・・5000億よ」 金を持ってるから、こんな大きな店を出せたんだ。 「でね・・社長・・お店も儲かっているし・・お金も去ってても  動かさないと意味ないし・・・いい融資先ないかしら」 しかし、まさかこの女が、詐欺師で・・・規模の大きなあるある詐欺を 仕掛けているなんて、この時には気が付かなかったのだ。 資産家の資産は1兆円と言われているが、大半は会社名義の土地やビルや 工場などで、銀行や株などすぐに動かせるものは3000億 ・・・・これを奪いに来た女だった。
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