第十一話

2/9
前へ
/210ページ
次へ
喉が。 カラカラに、乾いている。 それに気付いて、ゆっくりと目が覚めた。 ぼんやりとした頭で、この部屋が自分の部屋じゃないことを知る。 「ーーーーー………、」 声が。 出ない。 なんで。 その理由を、考えようと思った瞬間。 「はい、水。起きれるか?」 「ーーーーーーー。」 にこりと笑顔で、隼人が目の前の現れる。 目が合った瞬間、俺の顔は一瞬で真っ赤に染まった。 俺。 昨日、隼人と。 「ほら。起きろ。」 背中に手を回され、力強く俺の体を支える。 触れた所が何だかムズムズして、やけに気になった。 まだ。 昨日の余韻が、残っているようだった。 それもそのはず。 だって。 俺達は、朝までずっと。 抱き合っていたんだから。 「ーーーーーーー。」 うわ。 顔が、ヤバい。 尋常じゃないほどの熱さを感じ、思わず右手で自分の頬をさすった。 そして、そのまま隼人からコップを受け取る。 三口目には喉の渇きが潤い、隼人はまた俺をベッドへ寝かせた。 「今日は一日、ゆっくりと寝てろ。な?」 話を聞けば、どうやら隼人が俺の家に連絡を入れてくれたらしく、そして今日は、風邪気味という理由で、学校へ欠席の電話を入れてくれていた。 確かに。 この体の調子じゃ、学校は無理だ。 ここ数日の睡眠不足と疲労感もあいまって、 俺の体は鉛のように重くなっていた。 「…………渉。」 隼人の目が優しく細められ、じっくりと俺を見つめた。 そっと手を取り、そのまま手の甲へキスをする。 「ーーーーーはや、」 「俺と付き合って、渉。」 ーーーーーーーーー。 頭が。 真っ白になる。 付き合う? 俺が、お前と? その言葉は、まるで夢みたいに頭の中へ響いて。 そしてすぐに。 現実を、思い出す。 ーーーーーーーそうだ、俺。 恒星と、付き合ってる事に、なってたんだ……!
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1653人が本棚に入れています
本棚に追加