第十一話

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触れ合う唇と。 混じり合う吐息に。 求めていたものは、これだと。 自分はずっと。 独りよがりじゃなく。 誰かと本気の恋愛がしたかったんだ、と。 そう、痛感する。 大事で。 大切で。 どんなに見苦しく足掻いても。 絶対に、手放したくない、確かなもの。 そんな相手を見付けたいま。 俺はやっと、男を愛して行くという自分の運命を。 受け入れることが、出来たんだろう。 「…………渉。」 愛しい相手の名前を呼び、 お互いの目に。 もう、見失わないよう、強く刻み付けたい。 俺の、全ての想いを込めて。 「愛してる。」 < 完 >
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