第四話

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ビクンと渉の体が跳ね、すぐさま顔を引き剥がす。 「っ…………、」 至近距離で目を見つめ合い、俺はまた、顔を近付けた。 「ーーーーーーーはや、んっ……!」 今度は、逃げようとする渉の後頭部を、グッと右手で抑え込む。 そしてすぐに、躊躇うことなく舌を絡めた。 「ーーーーーっんぅ!」 渉の手が、俺の肩を強めに叩く。 そんな攻撃じゃ、止まるわけがない。 逃げる舌を絡め、何度も舐め取り、また逃げようとする舌を吸い上げる。 「っ…………っふ、ん…………ぅ、んっ……………!」 鼻にかかったくぐもった声が漏れる度、俺の中の欲望がどんどん大きく膨らみ始める。 速いスピードで鳴り響く心臓も、今は気にならなかった。 「泣けよ、渉。」 「ーーーーーーっゃ、………っふ……。」 混乱しながらも涙を堪える渉に、更に追い打ちをかけてやる。 身を乗り出しその体を抱き締め、逃げられない体勢を作り深くキスを繰り返した。 わざと卑猥に舌を絡め、飲み込ませた唾液が溢れて渉の頬を伝う。 「っん……………っふ、ぅ……………!」 漏れる声が、段々と甘い声色に染まり始め、その声が俺の脳をこれ以上ないほど刺激して来る。 渉を泣かせる為に、やっていることなのか。 それとも、自分が渉へキスをしたいだけなのか。 どちらの思いが強いのか、分からなくなって来た。 その時。 渉の目から。 一粒の涙が、こぼれた。
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