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ビクンと渉の体が跳ね、すぐさま顔を引き剥がす。
「っ…………、」
至近距離で目を見つめ合い、俺はまた、顔を近付けた。
「ーーーーーーーはや、んっ……!」
今度は、逃げようとする渉の後頭部を、グッと右手で抑え込む。
そしてすぐに、躊躇うことなく舌を絡めた。
「ーーーーーっんぅ!」
渉の手が、俺の肩を強めに叩く。
そんな攻撃じゃ、止まるわけがない。
逃げる舌を絡め、何度も舐め取り、また逃げようとする舌を吸い上げる。
「っ…………っふ、ん…………ぅ、んっ……………!」
鼻にかかったくぐもった声が漏れる度、俺の中の欲望がどんどん大きく膨らみ始める。
速いスピードで鳴り響く心臓も、今は気にならなかった。
「泣けよ、渉。」
「ーーーーーーっゃ、………っふ……。」
混乱しながらも涙を堪える渉に、更に追い打ちをかけてやる。
身を乗り出しその体を抱き締め、逃げられない体勢を作り深くキスを繰り返した。
わざと卑猥に舌を絡め、飲み込ませた唾液が溢れて渉の頬を伝う。
「っん……………っふ、ぅ……………!」
漏れる声が、段々と甘い声色に染まり始め、その声が俺の脳をこれ以上ないほど刺激して来る。
渉を泣かせる為に、やっていることなのか。
それとも、自分が渉へキスをしたいだけなのか。
どちらの思いが強いのか、分からなくなって来た。
その時。
渉の目から。
一粒の涙が、こぼれた。
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