第四話

24/24
1654人が本棚に入れています
本棚に追加
/210ページ
感覚を刺激された事による、生理的な涙かもしれない。 それでも。 泣かないよりは、よっぽど、良い。 「ーーーーーっんぅぅ………っふ、…………。」 次々に涙がこぼれ、舌の裏筋を舐め上げると、ビクリと大きく体が震える。 そんな反応が可愛くて、もっと攻め立てたい感情が過る。 渉の声も。 唇も、舌も。 俺より小さなその体も。 何もかもが愛しくて。 何もかもが、俺を刺激して来る。 「っ……………っふ……………ぅ…………っ、」 「…………渉……………。」 小刻みに震え始めた体に気付き、俺はゆっくりと唇を離した。 何度も荒く呼吸を繰り返しながら、渉は必死に嗚咽を堪えていた。 「っ…………ぅ………………っうぅ……………っ、」 しっかりと渉の体を抱き締め、優しくその背中を撫でてやる。 「…………誰のせいでもあるし、誰のせいでもない。意味は、分かるな?」 俺の言葉に、渉はただ漏れる声を堪えていた。 「俺達は、チームだろ?負けも、勝ちも、チームで分け合うんだよ。 一人で背負うな、渉。せめて俺には…………お前の弱さを、見せろ。」 「ーーーーーーーーっ、う……………うぅ………っ……!」 渉の手が、俺の背中へ、回される。 きつく、きつく握り締めて来る手の平が、とても頼りなげで。 しっかり抱き締めていないと、消えてしまいそうだった。 「っ……ぅ………ぅぁああっ………!!」 今まで堪えていた涙が、感情が、爆発するように吹き出して来る。 まるで子供のように、大きく声を上げて泣く渉は、今まで俺が知っている渉の、どれでもなくて。 これ以上。 もう、傷付いて、欲しくない。 俺の全てで。 こいつを、守ってやりたいと、思った。
/210ページ

最初のコメントを投稿しよう!