第1章 不思議な置物 1/2

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 自他共によ、と言い残して俺に背を向けて捜索を続行する彼女。  俺も手に入れた情報を元にその場を探し始めるが、対象が手の平サイズなので隠し場所の候補が沢山ある。  本格的に探し始めて数分。少し休もうとした時に後方から話しかけられた。  「時永くん、でいいのよね。先程、貴方は文芸部の部長と言っていたわよね。素直に感心するわ。よくこんな時期に部員を集められたわね」 「いや、部員はいないぞ。文芸部部員は俺一人だけ、だから部長でもある」 「私の素直な感心を返して欲しいわ。貴方一人だけ? 確か、校則によると部員三人以上いないと創部は出来なかったはずだけど」 「よく知っているな。だけど俺は創部はしていない。部員ゼロで休部状態だった文芸部に入部したんだ」  龍太郎と喋っている時に休部状態の部活の話を聞いて、直に手続きをした記憶がある。  本来は、部員三人以上いないと部活として成り立たないが、学校に何の支障も与えないし休部状態から復帰しただけだから、黙認して貰っている。  というか、正直どうでもいいと思っているはずだ。
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