第1章 不思議な置物 1/2

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 チャイムが鳴り響く教室。静寂に包まれていた空間に微量ながら歓声が上がる。  終了、という言葉を残して教室を後にする先生。学生達は我慢していた力を解放するが如く騒ぎ立てる。  机の上に広がる勉強道具をかき集めて学生鞄の中へと詰め込んでいると、前の席の男子が後ろを振り向いて親しげに話しかけてきた。 「長い一日が終わったな、真夜くん。もう僕を束縛する奴はいないんだ」 「龍太郎、ずっと寝ていた奴の台詞と思えないんだが、最初から自由の身だったと思うんだけど」 「何を言ってるんだ。睡魔に拘束されていただろう。本当の自由とは言い難い。そう、本当の自由とは言い難い」 「何で二回言った?」  馬鹿だ、ただの馬鹿だ。何をドヤ顔で語ってんだよ。  だけど口には出さない。テストで負けている相手に正面きって馬鹿と言える程、恥晒しな人間ではないので言葉にはしない。 「よし、学校も終わって仮眠も取れた事だし、バイトに行くとするか。……そうだ、真夜、今日暇だろう? バイト先に来るか? 店内でも食べられると思うし、サービスするぜぇ」 「悪い、今日は遠慮しとくよ」 「そうかー。あ、そういえば、どっかの部活に入部したんだよな。昨日の今日なのにすっかり忘れていたぜ。部活魂なる物を燃やして頑張ってくれたまえ。骨ぐらいは拾ってやる。そして、骨粉にして畑に撒いてやる」 「何で、高校の部活でそんな大惨事が起こるんだよ。……龍太郎、また今度誘ってくれ。それで、次回は今日の分も含めてサービスしてくれ」  強欲だ……、と後退りしながら呟く龍太郎。  何がだ? 幸福を分割ではなく一括で貰おうとしてるだけじゃないか。
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