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「き、霧生さん……」
勢いよく開かれた扉から出てきたのは、頬を涙で濡らした一人の女子生徒。
目の前の霧生を少し押し退ける感じで走り去っていく。
霧生の伸ばした手は宙を掴む。
すると、盛大に開かれた生徒会室から、力強い溜め息が聞こえた。
「Ms.霧生。追っかけ無くて良いですよ」
「宮若江先生。また香先輩に説教したんですか」
「良いじゃないですか。これは家族の問題です。兄妹には兄妹の、宮若江家には宮若江家のルールがありますから」
「ここが学校である限り、貴方達は先生と生徒の関係です」
「はいはい。学校で怒るのは止めますよ」
「分かって頂ければよろしいです」
案外簡単に引き下がった両者。
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