第13章 生徒会の静かな涙 1/3

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 必要な書類を提出して、他の作業が残っているという霧生は置いて、一人南棟の部室へと向かう。  窓越しに見える空は雨雲に変わり、グラウンドや校庭は静まり返っていた。  ガラスに叩きつける雨の音は、次第に強くなっていき、南棟へ向かう足を鈍くしていく。 顔を上げると、教室で忘れた宿題に取り組んでいたはずの龍太郎が歩いてきた。 「あ、真夜」 「おう、龍太郎。今帰るのか?」 「さっき、やっと終わってな。お喋り相手がいない状態で黙々と作業するのは苦痛だったぜ。苦くて痛かったぜ」 「でも、おかげで早く終わったんだろ」 「まあな」  顎に手を添えてこちらを見てきた。  自信満々に言うほどでも無いと思うが。止めろ誇るな。
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