167人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいぜ、その約束を守り抜くぜ、ずっと守り通すぜ。俺は風上にも置ける良い奴だからな。風下に置くのは勿体ない奴だからな。」
「何言ってるのか、よく分からん。そんな日本語聞いたことねぇよ」
「聞いた事がない? つまり、逆に考えると、言った事はあるって事か! うわ、巧みな話術に騙される所だったぜ。翻弄させる所だったぜ。鵜の如く丸呑みする所だったぜ」
最後、普通に鵜呑みと言えないのだろうか。コイツと喋っていたら疲れてきた。
帰る支度を終えて席を立ち上がり鞄を肩に掛ける。龍太郎も腕時計を確認したと思うと鞄を手に取り席を立ち上がる。
「お、もうこんな時間だ。バイトが俺を呼んでいる。いや、俺がバイトを欲している。まさに血に飢えた狼のように!」
「お前のバイト先って、ピザ屋だったよな。あれか、ケチャップという名の血を求めているのか」
「ん? 何言ってんだ? そういう事だから帰るぜ、バーイ」
「あぁ、また明日な。……理解しろや」
龍太郎を見送ったあと、俺も教室を出る。薄らと赤みを帯びた廊下を歩いて、下へと繋がる階段を一気に一階まで下りる。
階段のすぐ側にある職員室に訪ねて、近くの先生に入室許可を貰い、社会科準備室と書かれた鍵を手に取り、生徒玄関へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!