第1章 不思議な置物 1/2

8/29
前へ
/277ページ
次へ
「『努力を誇れ、結果を威張れ』。これ私の座右の銘。頑張った分だけ自慢しても良いって事よ」 「だから、そんな性格になったんだな」 「逆よ。座右の銘から性格が形成されたのではなく、性格から座右の銘が作成されたのよ」 「何か、凄いな」  名は体を表す。いや、銘は性を表すか。  簡易テーブルの前に移動して椅子に座り込む霧生は、頬杖を付きながら勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。 「ある意味で強い印象を与えられたでしょ、これでもう霧生紫音という名前を覚えたわよね。一生物の記憶として保存したわよね。次は貴方の自己紹介の番よ」 「……もしかして、私の名前を知らないの? ……分かったから、真似をしないから、無言でその辺の本を投げようとするな。えーと、俺の名前は時永真夜だ。己を誰もが知っている有名人だと信じて疑わなかった霧生紫音という女子を全く知らなかった人間です」 「含みのある言い方ね。改めて、忘れ物を探す手伝いをお願いするわ」 「億劫だけど、引き受けるよ」  了承して探し物に取り掛かる。とりあえず、右側から探してみるか。  俺は適当に資料が保管されいる棚へと足を運んで物色する。  まぁ、すぐに見つかるだろう。そして帰ろう。
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167人が本棚に入れています
本棚に追加