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テキサス州オースティンにあるコングレス・アベニューの橋の下に集まる150万匹のメキシコ・オヒキコウモリ。
その中に佇む一人の青年は、酷く悩ましげな表情をしていた。
彼の名前はクラウス、150万匹ものコウモリを従える吸血鬼。
別に血には飢えていない、僕は愛に飢えている。ああ、なんて不幸なんだろう……(以下省略)―――これが彼の口癖。
クラウスはナルシスト気味な所が若干残念ではあるけれど、優しく見目麗しい貧血系男子だ。
彼は夜な夜なハンティングに繰り出す。
しかし今日、彼はいつものように街には向かわず、橋に凭れ、アンニュイな表情をしてため息を吐いている。
そろそろ48人目の愛する女性を探し婚姻関係を結ばなくてはならない。
しかし、彼は気が重い。
どうせ、好きになったところで、婚姻関係を結んでしまえば皆、僕のマリオネットとなってしまう。
永遠の命と引き換えに心を失くした愛する人を見るのは気が重い。
一体何の意味があるんだろう。
・・・
クラウスはその日同じように愛する人を失い心を痛めている女性に出会う。
だんだん惹かれていく二人に、残された時間は少ない。
クラウスの心は彼女の心か、永遠の
生命か。
彼女は48番目のマリオネットになるのか。
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