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「待てよっ、話はまだ終わってないっ…!!」
あの場に留まることはもう、できない。
だって、
胸の中は嘘の塊がぎゅんぎゅんに詰め込まれて
破裂寸前で、苦しくて。
もう、無理。 限界なの……!
急いで地下鉄の入り口に入り、ちょうどやってきた列車に飛び乗った。
呼吸を整えながら、暗い窓の向こう側をぼんやり見つめる。
「…………」
終わった。
これで、いい。
いいんだ…………。
2駅乗った後、地下鉄を降りた。
何てことはない、こんなことは。
自分が納得して下した決断なのだ、これは。
私は悲劇のヒロインみたいに自己憐憫になど浸らない。
たかだか男と別れたぐらいで、泣いたりなどしない。
自分で自分を叱咤しながら大股で闊歩して地上に出ると冷たい風が胸のど真ん中に突き刺さった。
コートのボタンを留めていなかったことに気づき、立ち止まってとめる。
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