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心地好い風が吹く。
瑠偉の顔を横目で見ると
瑠偉も私を見つめていた。
1…2……3………
2人の間に暫く沈黙の時が過ぎる。
「そろそろ車に戻りましょうか。」
瑠偉は言う。
まだ一緒に東京タワーを眺めていたいが
私は我慢して聞き分けの良い返事で
「そうですね。」
そう返事をするしかなかった。
車へ戻り助手席へ座る。
瑠偉はエンジンを掛けラジオをつける。
FMが流れ出す。
瑠偉の車の中は決して綺麗ではない。
物が散乱している。
その中で何か女物がないかを探してしまう。
もしかしたら
彼女が本当はいるのかもしれない。
まだ私の中では瑠偉の知らない面の方が多い。
少し身の内話を聞いて
少しメールのやりとりをして
少し話しただけで
知った気分になっているだけ。
そんな自分が哀しくなる。
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