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何度となく
地下鉄やJRの駅が通り過ぎる。
車が停めにくいのかと思っていたが
そういうわけではなさそうにも思える。
瑠偉も私と同じ思いなら…
私は期待してしまう。
意を決して聞いてみる。
「あの、駅ありましたよ。」
瑠偉からの返事がない。
沈黙の中をラジオの中のDJは軽快の話している。
曲が流れ出す。
「もう少しだけ一緒にドライブって思ってしまって。」
瑠偉からの言葉は想定外の言葉で
その時の私の顔は真っ赤になっていたに違いない。
良かった…。
これが夜で明るくなくて。
心の中は既に限界を超えていて
興奮気味の自分を落ち着かせるのに深呼吸をする。
すると
車が地下鉄の駅で止まる。
瑠偉が言う。
「今日は楽しかったです。
ランさんと話せて良かった。」
私も瑠偉を見つめて口を開く。
「私も楽しかったです。ありがとうございます。」
助手席降りようとしたその時に
瑠偉が私の手を掴む。
え……………
何がどうなってるの?!
掴まれてる?!
え………………
「また会いたいです。レッスン以外で。」
瑠偉からの言葉は
私の心を鷲掴みにする。
情けない声で
「は、はい。」
その言葉しか出てこなかった。
瑠偉との初めての約束。
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