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「…………。」
泣き疲れたのか、話して安心したのか、柚隆は俺に抱かれたまま眠りについた。
そうか。今日の柚隆の行動。
あれは、家族を求めてたのか。
遊んでくれる、兄。
お風呂に一緒に入ってくれる、父。
ご飯を作ってくれる、母。
目尻に残る涙をそっと親指で拭って、抱き締める腕に力を込めた。
「…………柚隆。」
柚隆、柚隆柚隆。
「…………………っかやろー………。」
何で、もっと早く言ってこないんだ。
何で、頼ってこないんだ。
俺だって、俺だって出会ったときから柚隆しか見てないのに…………!!
前髪を上げて、額にそっと口づける。
柚隆は、起きない。
目が覚めたら、俺の気持ちを伝えよう。
早く、喜ばせたい。
でも、俺も意外に疲れてるのか、それともこの温もりが眠気を誘うのか。
柚隆を抱いたまま、自然と目を閉じた。
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