第1章 痛くない理由

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 引かれた体が今度は後ろに倒れ尻餅をつく。イラついている大翔の顔が見えた。  もう一度立ち上がろうとした時、ジャリッという音と共に 「無視してんじゃねぇっ!」  ブンっ……  大翔の拳が目の前をかすめていった。 迫力の無いパンチ……  予想していたパンチをよけ、まっすぐに大翔を見据える。 ………………  二人の間に少しの沈黙が流れた。  が、瞬く間に他の連中に羽交い締めにされ、昴は身動きがとれなくなった。 「!!」  この状況に大翔がハッと我にかえり、ここぞとばかりに拳を降り下ろした。 「オラっ!」 “ごつん”と鈍い音が鳴り、昴は殴られた。  殴った大翔は、拳にジーンと痛みを感じつつ、どや顔で勝者の喜びを感じる はず……なのだが、 ……あ、あれ?  ただ冷静にそれを受け流すだけの昴に、大翔は戸惑う。
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