第1章 痛くない理由

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 何も反応を見せない昴に、皆が違和感を感じ始めた時…… キーンコーンカーンコーン……  昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。 「ちっ……もぅ終わりかよ。」 「良かったなぁ、その程度ですんで。」  いじめっ子達はおのおの言いたいことを言っていき。 「大翔!いかな遅れるで!」 「……おう。」  まちまちに、4年B組へと帰って行った。  昴の口の中は切れていて、頬も少し腫れている。 こんなこともう慣れっこだ……  と、自分が自分に冷めているような感覚がして、少し寂しい気持ちになった。  その気持ちを隠すように心に押し込め、口から流れる血をぬぐいプチトマトに水をあげる昴。  元気に育っているプチトマトを見て、不思議と暖かい気持ちになった。  一生懸命成長するトマトが、自分を励ましてくれているように見えたから。  プルプルと気持ち良さそうに水をはじくプチトマトは、光を反射してキラキラしていた。 それを見つめる昴の顔は、どこか悲しそうに優しい微笑みをたたえていた。
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